初詣

目次

寺院への初詣

浅草寺初詣

ご住職、年の瀬が近づいて参りました。今日は、初詣について教えてください!

ふむふむ、初詣じゃな。

修正会

年が明けると寺院では、修正会しゅしょうえという法要を営むんじゃ。修正会は新年を祝い、この一年の平穏へいおん無事ぶじ祈願きがんするものじゃぞ。
歴史では、神護景雲じんごけいうん2(768)年もしくは天長てんちょう4(827)年に初めての修正会が行なわれたとされとるのぅ。

修正会は祈祷きとう的要素が濃く、金剛峰寺こんごうぶじや関東三山(成田山なりたさん新勝寺しんしょうじ高尾山たかおさん薬王院やくおういん川崎大師かわさきだいし平間寺へいけんじ)など祈祷を重んじる真言宗しんごんしゅう寺院の修正会は、平安時代の頃より大規模に行われていたようじゃ。

当初は国土こくど安穏あんのん五穀ごこく豊穣ほうじょうなど国家レベルの祈願だった修正会じゃが、時代を経るにつれ、一般庶民の生活に密着した現世げんぜ利益りやくも対象とするようになるぞ。
このような経緯が、正月に寺院に初詣はつもうでに行くという風習が広まった要因の一つと考えられるんじゃ。

厄除け

もう一つには、やくけを兼ねての寺院への初詣というものがある。
通常、死のイメージが強い寺院は、正月のめでたさの中では避けられる傾向にあるが、厄年に当たる人は一年の初めに祈祷によって厄をはらってもらいに寺院に参詣さんけいに行くんじゃよ。

現在でも、初詣の人出で有名な寺院には、真言宗の関東三山や東京の浅草寺せんそうじなど祈祷を重視する密教みっきょう系寺院が名を連ねておるんじゃ。
修正会にしても厄除けにしても、一年の幸福をご利益のある寺院で祈願したいという人々の心がうかがえるのう。
この他に、七福神しちふくじんをまつる寺院をめぐる七福神巡りも、ご利益と娯楽をかねて、江戸時代より流行したんじゃ。

神社への初詣

毎年300万人以上初詣客が訪れる明治神宮

なるほど!寺院とは別に神社の初詣についても知りたいです!

寺院への初詣の一方で、神社に初詣に行くという人もたくさんおるが、その背景には二つの流れがあるんじゃ。

一つには、昔は村々に産土神うぶすながみ鎮守神ちんじゅがみといった神社があり、村人はその氏子うじこじゃった。そして、新年には氏子が神社に参拝さんぱいして村や家の一年の安泰あんたいを祈るという習慣があったのじゃ。

もう一つは、江戸時代に広まった、というものじゃ。
陰陽道おんみょうどうによれば、一年の幸福をつかさどる神様がいる方角(恵方)というのは、毎年変わるとされ、新年には恵方にある神社に参拝すると一年の福が得られるとされとった。
この二つの流れが、現在の神社への初詣につながっているんじゃ。

初詣は寺院と神社どちらに行くべき?

それぞれの歴史は理解出来ましたが、どちらに行くべきなのでしょうか?

初詣をする際に寺院と神社のどちらに行くべきか戸惑う方もいるかもしれんが、日本の宗教の歴史は神仏しんぶつ習合しゅうごうの歴史でもあるんじゃ。

明治時代に入って神仏しんぶつ分離ぶんりれいが出されるまで、寺院と神社が一体化している例はいたるところにあったぞ。
法令で分離が強制されたとしても、神仏に一年の平安・幸福を祈りたいという庶民にとっては寺院と神社に大きな違いはなかったのかもしれんのぅ。

ありがとうございます。

……(合掌)

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