墓石の起原
ご住職、墓石の起源を教えてください!!
ふむふむ……
仏教の始祖であるお釈迦様が亡くなられると、信者は亡骸を火葬し、遺骨(仏舎利)を埋めたうえに石塔を建立したといわれておる。
その石塔をストゥーパというのじゃ。
以後、仏教では供養のために塔を建立することが習慣的になっていったのじゃ。
お墓に立てる木製の卒塔婆はストゥーパを漢字で音写したものじゃし、五重塔や三重塔も起原はストゥーパと考えられているのじゃよ。墓石もストゥーパを起原とされとるぞ。
日本における墓石の歴史
ご住職、では、日本での墓石の歴史は??
日本ではな、平安時代の貴族や高僧の墓に見られるようになるが、庶民の間に普及するようになるのは、江戸時代に入ってからなのじゃ。
それまでの庶民の墓は、塚や小石、挿し木など、目印としての簡単なもの(墓じるし)で済ませておったようじゃのう。しかしな、墓と仏教(寺院)のつながりが密接になり、墓石も徐々に定着していくのじゃ。
墓石の初めのころは、五輪塔や仏像付きの石塔が建立され、明治時代以降は、現在もよく見られる角柱型のものが多くなっていったのじゃ。
墓石の大きさもかつては、個人や夫婦のために小さいものを建てておったが、やがて一族で一つの先祖代々をまつる大きなものへと移行していき、最近では、家名を書かず、抽象的な言葉を書いた掲示板型の墓石も増えてきてるようじゃのう。
また、墓石には霊魂の依代としての意味もあるのじゃよ。
霊魂を墓石に宿らせて、その墓石を供養の対象とする。
墓石に向かって拝んだり、お経をあげる背後には、依代としての墓石の意味があると考えられるのじゃよ。
現代では、核家族化や後継者不足の問題から、一家の墓を継承することが困難となり、合同墓や散骨など新たな墓の形態が現われてきているのう。
墓はの、家族制度と密接な結びつきを持っておったのじゃ。
墓石の形状や墓の形態の変化から、家族というものの変化が感じられるのではないじゃろか。
……(合掌)