供養

目次

供養とは

ご住職、供養くようとはなんでしょうか?

供養くようとはの、辞書的に言えば、三宝さんぼう仏法僧ぶっぽうそう)に対して、三業さんごう(身・口・意)によって供物くもつをささげることを意味しとるぞ。
三業とは、身体を使って行なうこと(身業しんごう)、言葉として口に言うこと(口業くごう)、心に思うこと(意業いごう)をさすのじゃ。
つまり、人があらゆる方法を使い、三宝を敬うことじゃのう。

供物とは

では供物とはなんでしょうか?

初期仏教では、信者が衣服・飲食・臥具がぐ湯薬とうやく僧団そうだんに寄付することを指しておったが、仏教が広まり発展するなかで、様々な「供物」が考えられるようになっていったのじゃ。

花・香・灯明とうみょう三具足みつぐそくといいます)を供える、卒塔婆そとうば仏塔ぶっとうを建てる、といったモノだけではなく、念仏ねんぶつ礼拝らいはいという身体的行為や心の中で敬い讃えるという精神的行為も「供物」となるわけじゃな。

同時に、三宝を敬うためだけではなく、死者の霊魂をなぐさめ落ち着かせるために供養が必要とされたのじゃ。
供養の対象に死者の霊魂が加わり、大きな要素となっていったのじゃよ。

身近な供養

ご住職、供養というと範囲が広く混乱する方も少なくありません。供養の種類を教えてください。

ふむ。そうじゃな。経典きょうてんにのっとった供養の方法もあるが、経典にのっていない、一つの型として定められていない供養が、私たちの身の回りにはたくさんあるのぉ。

それらの供養は、仏教の教えと民間の習俗が融合して、長い歳月を経て形成されてきたものじゃ。
したがって、地域により、時代により、その方法は様々じゃ。
私たちがもっとも身近に供養を感じるものでは、通夜つや葬儀そうぎがあげられるのかのぉ。

通夜・葬儀は一種の死者に対する供養と考えられるが、時代により、地域により、宗派により、多種多様な形体を示す代表的なものじゃな。
全国的ではなくても、特定の業種や地方の方々によって行なわれる供養もあるのぉ。

針供養
(2月8日または12月8日「事八日ことようか」といい、どちらかまたは両方の日に、使えなくなった針を供養します。)

たとえば、理美容業界の方々によって行なわれるハサミ供養や、水産業が盛んな地方での魚供養や、針仕事休みの日として始まったと言われる針供養など。
時代の変化にしたがい、失われる供養の形もあれば、新たな供養の形も生まれておる。

水子供養や手元供養、ペット供養などは、比較的歴史が浅く、現代人のニーズに応えて生まれた供養と言えるじゃろうな。

しかし、形式ばかりを気にして、気持ちがおざなりになっては本末転倒。
三宝を敬い、死者を想う心が何よりも大切じゃな。

!!……(合掌)

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