縁起〜因果応報〜

縁起とは

縁起えんぎは、あらゆるものはいんえんから生じるという意味じゃ。
因とは結果を招く直接の原因、縁は間接の原因のことじゃな。
すべての事象は無数の原因や条件が関係しあって成り立っているということ。
だから原因や条件が変われば事象も変化するのであり、絶対不変の存在はないということにもつながりなのじゃ。

それは仏教の根本教理の一つですね。ご住職!!

そうじゃな。縁起の思想も時代によって発展していくが、共通するのは「これがあるとき、かれがあり、これが生じることから、かれが生じる」ということじゃな。

苦しみの原因「十二支縁起」

初期仏教の縁起説では、苦しみの原因は何かということが探求され、それが「十二支じゅうにし縁起えんぎ」としてまとめられました。

十二支十二因縁じゅうにいんねん)とは、無明むみょう(根源的無知)、ぎょう(形成力)、しき(識別作用)、名色みょうしき(名前と形)、六処ろくしょ(眼・耳・鼻・舌・身・意の感覚器官)、そく(対象との接触)、じゅ(感受作用)、あい(渇望)、しゅ(執着)、(生存)、しょう(生まれること)、老死ろうし(老い、死ぬこと)の十二のこと。無明によって行が生じるというようにして、無明から老死にむかって観察することを順観じゅんかんといい、また逆に、老死の原因は生というように観察していくことを逆観ぎゃくかんというのじゃ。

大乗だいじょう仏教ぶっきょうが起こってくると、くうの立場から縁起説が説かれるようになるのじゃ。
すべてのものは不変的な実体を持たない、すなわち空であるから縁起するのだとされるのじゃな。
インド仏教の僧、竜樹りゅうじゅは空と縁起を同じものとみなし、あらゆるものの相互依存関係として縁起を捉えたのじゃ。

竜樹

この竜樹の縁起説は、以後の大乗仏教思想の基盤となり、そこから唯識ゆいしき華厳けごん天台てんだいなどのさまざまな縁起思想が展開するのじゃな。
このことから竜樹は八宗はっしゅうの祖とも呼ばれてるのじゃ。

……(合掌)

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